3Dプリンターで使用する材料(フィラメント)で、新品購入したのにプリント結果がおかしい。
もしかしたら、吸湿不良かも。
吸湿すると、プリントがどうなるか?を紹介します。
吸湿不良だった材料は【ABS】です。
新品購入で、開封後最初のプリントがこうなっていたら、返品を検討しましょう。
◆この記事で分かること
3Dプリンターフィラメントの吸湿不良状態。この状態なら返品を検討。
3Dプリンターフィラメントの吸湿不良状態。この状態なら返品を検討。
3Dプリント用フィラメントは吸湿で出力不良になる
吸湿するとどうなるか?
3Dプリンター用フィラメント(PLA、ABS)は、吸湿すると、出力結果が【ぼそぼそ】の状態になり、うまく形にならなくなります。
初心者がこのような状態に当たると、プリンターの設定が悪いのか?と試行錯誤するのですが、この状態は、プリンターの設定の問題では無いので、いくら設定で試行錯誤しても、改善しません。
最初の確認
まず、開封時の最初の確認です。
3Dプリンター用フィラメントを購入して、最初の開封時の確認事項です。
通常、脱気梱包といい、空気が吸い取られて、真空パックっぽくなっています。
フィラメントスプールの中央穴部は、空気が残るので、乾燥剤(シリカゲル)が入っています。
この空気が抜かれた状態をまず、確認します。
良い状態
良い状態とは、手でビニールを引っ張っても、空間が出来ないくらい、しっかりと空気が抜かれている状態です。
こんな感じです。
まず、スプール中央にシリカゲル。
脱気がしっかりしていると、ビニール袋が、スプールにピッタリ貼付いています。
ビニール袋を指で引っ張っても、動きません。
この状態であれば、まずは安心です。
悪い状態
手でビニール袋を引っ張ったときに、
- ビニールとフィラメントスプールのフランジの間に空間が出来る。
- フィラメントスプールのフランジに対して、ビニール袋がズレて動く。
この場合は、脱気(空気を抜くこと)が弱く、良くない状態です。
工場の梱包時に脱気が弱い場合、密封されていれば、同梱された乾燥剤(シリカゲル)により、内部に残った空気の湿気が取れて、吸湿は免れる可能性があります。
しかし、梱包後に輸送などで、
- ビニール袋に傷がつき、外気が入る。
- 熱溶着密封シールが不十分で外気が入る。
という状態だと、湿気を帯びた外気により、フィラメントが吸湿する可能性があります。
この時点では、フィラメントが吸湿しているかどうか分かりませんが、上記のような状態であった場合、出来るだけ早く、プリントで確認をしましょう。
今回吸湿不具合にあたったフィラメントは、前回性能が良かったので、再購入(リピート)でした。
しかし、明らかに前回より脱気がゆるく、袋に大きな傷などは見られないものの、袋に対して中身が動く状態でした。
しかし、明らかに前回より脱気がゆるく、袋に大きな傷などは見られないものの、袋に対して中身が動く状態でした。
プリント確認
プリントでの確認方法です。
音を聞く
プリントしているときの音を聞きます。
パチッ、パチッ、と弾けるような音がしたら、フィラメントが吸湿しています。
今回はこの【音】がしました。
フィラメント内に入った水分が、熱で蒸発(気化)して弾ける音です。
アマゾンの書き込みで、パチパチ音がする・・・というのを、たまに見かけますが、これは【吸湿不良】です。
返品を検討しましょう。
透明色の場合は、フィラメント押し出し状態を観察
フィラメントをセットして、最初少しノズルから押し出すと思います。
透明色の場合は、ノズルから押し出されたフィラメントに気泡が入っていないか確認します。
こんな感じです。↓
これも、吸湿した水分が気化して気泡になっているものです。
透明は分かりやすいです。
出力したものの表面状態を確認
透明でない色の場合は、出力したものの表面を観察します。
ボソボソした表面で、塩の結晶がのっているような、ぼろぼろ崩れる状態であったら、【吸湿不良】です。
以下は【吸湿不良】の実例です。
こんな感じのモデルを出力しました。(水色部分はサポートです。)
出力した結果がこちら。↓
ぼろぼろで、もろく折れちゃいました。
気泡がたくさん見えます。
まともな形にならないので、すぐに何かがおかしいことが分かります。
この状態は、フィラメントの【吸湿不良】です。
対処方法
吸湿不良があった場合の対処方法です。
交換・返品
販売店に状況を伝えると、【交換】をしてくれると思います。
望ましくは、不具合状態の写真を添えて、連絡すると良いです。
激安だったから、聞いたことないメーカーだけど買ってみた・・・
なんて場合は、交換しても同じ悪い状態のものが来る懸念があるので、【返品】を申出るのもアリです。
今回の製品は、アマゾンで購入しました。
この状態は【異常】だったので、即【返品】させてもらいました。
アマゾンの返品はスムーズなので助かります。
乾燥させて復活させる
フィラメント乾燥機をお持ちの方は、乾燥させて、復活させる手もあります。
ただ、一度吸湿してしまうと、乾燥させても、吸湿前の品質に完全に戻るかというと、微妙です。
うまく乾燥させれば、使えるレベルにはなると思います。
乾燥させる手段として、シリカゲルと一緒にパウチビニール袋に入れておくという案。
上手く乾燥出来ません。
シリカゲルは、その空間にある空気の湿気を取ることは出来ますが、フィラメント内に入ってしまった水分を抜くことは出来ません。
上手く乾燥出来ません。
シリカゲルは、その空間にある空気の湿気を取ることは出来ますが、フィラメント内に入ってしまった水分を抜くことは出来ません。
そもそも使っているときの吸湿は?
使っているときも吸湿している・・・
3Dプリンターは、出力に時間がかかります。
出力しているあいだ、ず~と外気に触れている訳で、当然吸湿します。
だから、家庭用3Dプリンターの出力品質は、ばらつきが大きいんです。
使わないときは、密封パウチ袋に、シリカゲルと共に入れて保管は必須ですが、
本来は、プリント時にも吸湿しないように、ケースに入れて低湿度を維持して運用するのが理想です。
梅雨時は、室内を除湿するなどの配慮も必要です。
新品購入時の状態をどう考えるか?
新品状態は最良状態であるべき
使っているうちに、吸湿して劣化するのですが、新品購入状態は、もっとも品質が良い状態であって欲しいもの。
最初から吸湿していると、良い出力結果は得られません。
今回紹介したような、【出力結果】や【音】があった場合は、放置しておいても良化しないので、いち早く交換または返品の処理をしましょう。
まとめ
今回吸湿不良にあったフィラメントは、【ABS】でアマゾンでも評判は良いものです。
ただ、書き込みを見ると、「吸湿している」、「パチパチ音がする」などが見受けられ、一定数の不具合はあるようです。
価格が安いこともありますが、このようなものに当たったときは、遠慮せずに、【返品】なり【交換】を申出ましょう。
販売業者も状況は把握しているはずですので、対応してくれると思います。