ひさしぶりにFDMの3Dプリンターを使ったところ、同じ設定のはずなのに、プリント結果がいまいち。
そんな時は、フィラメントが【吸湿】している可能性が考えられます。
フィラメントを乾燥させましょう・・・と考え、必要になるのが【フィラメント乾燥機】。
専用のものが出ていますが、やや高価であり、性能もちょっと微妙な感じが・・・
という訳で、【食品乾燥機】を改造して、3Dプリンターフィラメント乾燥機を作ってみます。簡単です!
◆この記事で分かること
食品乾燥機を改造して、3Dフィラメント乾燥機を作る方法
3Dフィラメントを乾燥させる意味
3Dプリンター用のフィラメントは、湿度が高い環境下に長時間置かれると、吸湿します。
吸湿すると、
- ヒートベットに定着しにくくなってプリント失敗になる。
- 糸引きが多くなる。
- ひどくなると、プリント時にフィラメント内の水分が気化して気泡となり、プチプチ音が出る状態になり、プリント品がボロボロ崩れる状態になる。
など、不具合がいろいろ出てきます。
あまりひどくなると、再生不能になりますが、いつもと同じ条件でプリントしているのに、プリント仕上がりが悪いと感じた時は、フィラメントの吸湿を疑ってみて良いと思います。
こちらの↓記事も参考にして下さい。
3Dプリンターで使用する材料(フィラメント)で、新品購入したのにプリント結果がおかしい。 もしかしたら、吸湿不良かも。 吸湿すると、プリントがどうなるか?を紹介します。 吸湿不良だった材料は【A[…]
フィラメントを乾燥させる温度は?
3Dプリント用フィラメントを乾燥させる時の温度ですが、材料によって変わってきます。
熱に強いABSは高めで、熱に弱いPLAは低めになります。
材料 | 乾燥時の温度と時間 |
---|---|
ABS | 60℃~70℃ 2時間以上 |
TPU | 55℃ 4時間以上 |
PETG | 65℃ 2時間以上 |
PLA | 40℃~50℃ 4時間以上 |
ABSも使いたいので、70℃まで設定出来ることを条件にしようと思います。
市販の3Dフィラメント乾燥機の仕様は?
食品乾燥機を代替えするのに必要な仕様は?
ABSフィラメントを乾燥させることが出来るものが良いので、
◆食品乾燥機に求める仕様
- 温度設定範囲:35℃~70℃
- タイマー設定:4時間以上
- お値段は、5000円程度
- フィラメントが2つ入る大きさ
- 見た目が良い
こんな条件で探して、選んだのはこちらです↓。
大きさ感が、フィラメントスプールに合わせたかのように、ピッタリなんです。
見た目も割と良いと思います。
食品乾燥機を改造する方法
簡単ですよ!
こんな感じで、透明なトレーが5枚重なっています。
トレーの手前と奥で、位置の異なる重ね部があり、しまう時は低く重ねられて、使うときは、食品を入れるスペースを確保する為に高く重なります。
※写真は2段目が逆さに重なっていました・・・気にしないでください。
この透明トレーを改造します。
用意する工具は、ニッパーです。
トレーのこの部分から、パチパチ切っていきます。
目に破片が飛ぶと危ないので、保護めがねをして下さいね。
私は、大きめのビニール袋にトレーを入れて作業しました。
この赤い部分↓をカットすると、穴径が21cmになります。
フィラメントのスプール直径は、20cmなので、ここより外側を切ればOK。
トレーは1個は切らずに残しておき、一番下にセットして、フィラメントスプールの受け台にします。
- 5枚のうち3枚カットすると、フィラメントスプール1個入れることが出来ます。
- 5枚のうち4枚カットすると、フィラメントスプール2個入れることが出来ます。
3枚カットして重ねた状態がこちら↓。
フィラメントスプールをセットした状態はこちら↓。
3Dフィラメント乾燥用に作ったのかと思うくらい、とても良くフィットしています。(笑)
出来上がりです!
とても簡単です。
4枚カットして、フィラメントスプールを2個入れた状態はこちら↓。
電気代は?
今回は、ABSフィラメントを【70℃で8時間】乾燥させます。
電源を入れて、温度と時間を設定すればOK。
電気代は、エコキーパーEC-05EBで計測します。
8時間で実際にかかった電気は、1.12kWhでした。
1kWhあたり、27円とすると、【30.24円】です。
効果は?
- 糸引きが減った。
- 全体的に積層状態が綺麗で、プリント品がシャキッとした。
他の用途
- 残ったトレーで、ドライフルーツを作る。
- プラモデルの塗装乾燥用に使う。
- プラモデルのパテ埋め乾燥に使う。
- 小物パーツの接着乾燥に使う。
- 光造形3Dプリント品の乾燥用に使う。
まとめ
今回は、食品乾燥機(フードドライヤー)を改造して、3Dプリント用フィラメント乾燥機にする方法を紹介しました。
プラスチックのトレーをカットするだけで、出来るので簡単です。
トレーをテープで固定すると、フィラメントの出し入れで、当たって外れる煩わしさが無いので、良いと思います。
ちなみに、改造する前に、本来の使い方である果物(ゴールドキュウイ)をドライフルーツ化してみました。
酸味と甘みが増して、美味しかったです。
食品乾燥機の見た目もわりと良いので、おすすめです!